三、

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 ヘリコプターはそのまま高層ビルの屋上に着陸した。 「気をつけろよ」 「ん」  自然と伸ばされる手に手を重ねて、少しだけ高い段差を降りる。尚人が「まじかよ……」なんて呆れたように呟いたけど、それは無視させてもらう。女嫌いなんて言うくせに、一度懐に入れた人には甘すぎるくらい甘い。それが慧だ。  一瞬慧と一樹が見つめ合った気がするけれど、一樹はすぐに歩き出す。それに秀樹が続き、咲希達はその後ろに続いた。  広々としたエレベーターで下に降りると、そこはまさに豪華絢爛だ。まだ廊下だというのに天井は高く、壁には名画が並び、計算され尽くされた照明が辺りを照らしている。そして奥からはBGMのピアノ演奏と共に大勢の話し声が聞こえてくる。 「この廊下の奥が会場だよ。下からは招待IDを持っていないと入れないけど、上からなら……問題なく入れるみたいだね」  一樹の言う通り、進んだ先には大きな扉が見えた。磨りガラスでよく見えないけれど、会場に続く扉ではなく外とこちらを隔てる扉らしい。うっすらと廊下の景色が続いてるのが見える。  でも、それだけじゃない。磨りガラスの向こうに廊下とは違う白が揺れた。その白は磨りガラスのすぐ向こうにいる。  そして。 「開けてとお願いしてるでしょう!」  聞こえてきたのはよく知る声だ。
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