三、

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「姫っ!」  叫んだのは慧と同時だった。  まだ向こうは気付いてない。 「このパーティーの主催者に用があるのよ! 開けて!」 「招待IDのない方はお通しできません!」 「なら伝えて。今すぐここを開けて話し合いの場を設けないなら、マスコミに全てを報道してもらうと!」  わかるのは柄にもなく声をあげて、必死にこちらに来ようとしてくれている事だけ。どちらからともなく走り出す。 「姫っ!」  叫ぶと、今度はちゃんと届いた。 「咲希! 慧! そこにいるのね⁉︎」  スタッフに食ってかかっていた姫の声は一転、歓喜に染まった。  磨りガラスに駆け寄ると向こう側から手が添えられる。その高さは咲希の胸元と同じ。昔は見上げていた筈なのに、今ではこうして追いついてしまった。 「良かった、咲希! 無事なのね⁉︎」 「はい!」  その声は僅かに震えている。 「健司達から聞いて……皆でずっと手を探してたの。本当に良かった!」  表情は見えなくてもどれだけ心配してくれていたかが伝わってきて、申し訳なさと同時に喜びが湧き上がる。そして奥からもう一人。 「咲希、慧」  姫とは対称的な黒い衣服と低い声。だけど寮生を心から想ってくれている心強い存在なのは変わらない。 「康介っ!」 「え、康介がいるのか⁉︎」   再び叫べば、釣られるように尚人と心菜も駆け寄ってきた。
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