三、

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「ネデナ学園は対外的には青少年犯罪の社会的実験のためとされていますが、実際はそんな優しいものじゃありません。恐怖政治です」  最初は博。 「最近では反省棟という施設が作られ、校則を破った生徒はそこに入れられるようになりました。退学できないよう脅す内容の資料を見せられた後は、次に問題を起こしたら退学して家族に生涯迷惑をかけますといった内容の書き取りをさせられます。窓も時計もない密室に一人で閉じ込められて、何日もです」  次は謙太だ。  まるで監獄のような場所に生徒を何日も閉じ込める。脅し、体罰まで行っている。あまりに不穏な内容に招待客、特にマスコミは顔を見合わせ合ってざわついた。 「俺達は外に助けを求めようとしました。でも、三年前の報道以降許可されていた面会は昨年以降ほとんど行われていません。それどころか手紙すら返ってこなくなりました。家族と面会できているのは卒業後城之内グループや国家機関で働く事が決まっている生徒だけです。俺達は手紙が学園に握り潰されていると考えています」 「嘘だと思うなら学園から出された郵送物の数でも調べてください。きっと極端に減っていると思います!」  謙太の言葉を合図にマスコミは慌てて動き出した。携帯を取り出し、どこかに連絡を取る。いち早くこの一大スクープを報じようとしているのだろう。  それに慌てたのは祖父だ。
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