三、

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 博と謙太が切り替えてくれたのはファイルから発掘した裏金リストだ。大企業の名前や著名人の名前と共に生々しい金額か並ぶ。これを見てでっち上げだと言える人はいないだろう。  このパーティーの招待客ですら息を呑むほどの金額が祖父とネデナ学園に動いていた。 「祖父はネデナ学園の敷地に国を立てようとしていました。国の税金で豪華な施設を作ったのは後々自分の物にするつもりだったからです。優秀な生徒には早くから贅沢を覚えさせてこの国に賛同させて、評価の低い生徒はそれに従わせる。この裏金はそのための資金、出資者は祖父の思想の賛同者、新しい国への移住希望者だと思います。ね、そうですよね?」  最後は声を張り上げて問いかけると、招待客の反応は二つに分かれた。 「なっ……」 「ネデナ学園には監査が入った筈でしょう⁉︎」 「これじゃああの時の脱落者問題から何も変わってないじゃない!」 「どういう事だ⁉︎」 「このパーティーの参加者の名前もあるぞ⁉︎」  マスコミや芸能人をはじめ、何も知らなかったであろう人達と。 「……何かの間違いだろう」 「そうですよ、城之内様がそんな事、ねえ?」 「私の名前は悪用されているだけだ!」  祖父に協賛していたのだろう、苦々しい顔をする人達。足掻く人も多かったけれど、祖父はそれはしなかった。 「……だから何だ」  その言葉に会場は再び水を打ったように静まり返った。
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