三、

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「……お前達は自分のした事がわかっているのか」  残っているのは祖父の部下らしき人達と僅かなマスコミだけとなった。障害物のなくなった部屋ではしゃがれた声もよく通る。 「火消しにまたいくらかかると思ってるんだ」  それに最初に反応したのは秀樹だった。 「まだ火消しできると思ってるんですか」 「何⁉︎」 「もう終わりでしょう。あなたも、城之内家も」  小馬鹿にするような言葉には、言葉以上にたくさんの感情が詰まっている。咲希にはそれが痛い程伝わってきた。  だけど祖父には違うらしい。 「誰のせいだと思ってるんだ!」  怒りに満ちた表情で孫を怒鳴りつけた。 「自分の身から出た錆でしょう」 「何がだ! お前達がしでかしたんだろうが!」 「裏切られるような事しかしてないでしょう。跡取りにするとか期待させて、人の人生狂わせておいて何を言ってるんですか」 「それはお前達が期待外れだったからだろうが!」  秀樹が何を言おうとも、被せるように否定する。孫が傷ついていても気にも留めない。気付こうとすらしない。だからだ。 「母さんを殺したのもあなただ」  言ってしまった。同じ声量、同じトーンで話している筈なのにその言葉はやけに会場に響いた。   「あなたの勝手で縛り付けて、母さんは解放されたくて逃げ出した。連れ戻されたから病気を察知しても治療しようとしなかった。全部あなたのせいだ」 「馬鹿なっ何を証拠に……」 「図書館。母さん好きだったみたいですね? 本の裏表紙に書いてありましたよ、後継者になんてなりたくない、逃げ出したい、普通の大学に行きたいとか色々ね」
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