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冷たくて 熱くて
「──は? バレンタインか何だか知らないけどまじでありえない。そういうのやめて? 純粋に迷惑だから」
びっくりするほど冷たいその声を、あたしはとっさに隠れた校舎の陰で聞いていた。
「……っ」
たぶん手作りなのだろう、かわいくラッピングされたチョコレートを差し出していた見知らぬ女の子は、今にも泣き出しそうだった。
無理もないと思う──こっそり見てしまっただけのあたしですら、心臓がこんなにもバクバクと嫌な暴れ方をしているのだ。
「ご……ごめんなさい……っ」
消え入りそうな声のあとに足音が続き、やがて校舎裏は静かになった。
あたしはふうっと息を吐き出す。
知らなかった──加藤くんがこんなに冷たい物言いをする人だったなんて。
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