念=生霊 執念深い場合。

2/3
前へ
/15ページ
次へ
 それからというもの、叔父がいきなり2トントラックに跳ねられたり、母が原因不明の腹痛(検査しても異常が無い)を起こしたり、俺は特に会社の業務や人間関係も落ち着いていてストレス等が特別あった訳では無いのに声が出なくなりかけた。 読経する為力を入れても、喉に力が入りづらく圧迫された如く声門が閉められたように声が(かす)れる。 身体も背中に何か乗っかっているように、重い。 病院で検査したが、異常は無く血液検査も全て正常値。37度4分という、変な微熱だけが続いた。 鏡を見ると、赤紫色のモヤが顔にかかっており、見る人が見たら解るけど、いかにも『(さわ)りが来てますよ』といった(てい)だ。見ると、心春(こはる)も両親も同じ顔色。 それから、霊感の強い母と心春(こはる)が、二人揃って廊下に黒い影が歩いている、と怪しい影を目撃するようになった。 机に向かっていると、ポスターの仏像イラストからまた殺気を感じた。感じた事がある重圧感。 あの団塊オヤジ住職の気配と真同じ。 俺は塩をポスターに撒いた後、撤去した。 * 「得度(とくど)しなされ。杉本さん、お兄ちゃんの方な。あなたに念の強いのが来てる。あの狐の坊さんやろなあ。」 藤川尼僧(にそう)の寺に助けを求めて行くと、得度受戒(とくどじゅかい)を勧められた。 「昔から言うやろ?生霊(いきりょう)て。ほら六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)とか知ってる?それよな。執念深い人ほど強いんやけど、この人行者(ぎょうじゃ)やし、元がそんな性格の上修行を散々した所でキツネに憑かれてるから力が増してる。仏様と結縁(けちえん)するしか、ないよ。」 そう言って、藤川尼僧(にそう)はお祓いをしてくれた。 俺の生きてる時代に、まさかの平安時代、源氏物語と同ネタとは。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加