26人が本棚に入れています
本棚に追加
「やっぱり知り合いじゃねえか!丁度いい、てめえが代わりに責任取れよ」
「え。つかなんなんすか、全く話見えないんすけど」
「こいつ、俺が買ったばっかの朝飯を横から掻っ攫って行ったんだよ!」
悪名高い不良にどんな理不尽吹っ掛けられたと思えばそりゃ無理もない。
「あんたのせいじゃねえか」と睨み付ければ、しゅんと小さくなる眼帯の男。
「だってあんなに無防備にぶら下げてるから……」
「知るか、きちんと謝ってこい!」
「酷いよー!鬼ー!鬼畜ー!変態ー!」
変態は関係ないだろ。
なんだかもう怒鳴って気力を浪費することすら惜しまれるほどの脱力感。
「静間、行くぞ」
「道真君、いいの?」
「いいもなにもあんなやつ知らねえ」
「でも」と不思議そうにする静間に、「いいっつってんだろ」と睨み返せばやつは肩を竦める。
少しは更生したかと思えばどういうことだ、反省どころか人を巻き込むなんて。
男の泣き声を聞き流しながら、俺は静間を引き連れその場を立ち去った。
最初のコメントを投稿しよう!