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「俺はコトが小説に書くようなカッコいい騎士じゃない。それでもコトの夢の為なら、なんだって手伝う」
「元の世界には……?」
「帰らない。あっちの世界にはコトがいないから。もし、帰る事になっても必ず連れて行くから」
心が震えた。両目に涙が溜まって、頬を流れて行った。
私はジェダの両手を取ると、「ありがとう」と指輪を受け取った。
「私も、ジェダが好き……」
「これからも一緒にいる。約束するよ」
指輪を左手の薬指にはめてもらいながら、失くしたと思っていた指輪は、ジェダが指のサイズを測る為に借りていた事、貯金は指輪の資金だったと教えてもらう。
「でもさ、恋人になるだけなら指輪はいらないよ。これじゃあ、まるで結婚を前提に付き合ってって、言ってるみたい」
「そうなの? でも、それでもいいよ」
「えっ……」
「結婚を前提の恋人でもいい。それで、コトが安心してくれるなら」
なんでもないように話すジェダに、私は笑みを浮かべる。
「ジェダの国、なんて名前だっけ?」
「アマルフィア王国?」
「そう。ジェダを主人公にアマルフィア王国の物語を書いてもいい?」
「いいよ。でも、騎士としては、何もしてないけど」
「大丈夫。私がかっこよく脚色して書くから」
「楽しみにしてるね」
「ずっと触れてみたかった」というジェダに抱きしめられて、また涙が溢れる。
私のうちには異世界人がいます。改め、私のうちには異世界人の恋人がいます。
ーー絶賛、同棲中。
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