25人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
リビングに行ってテレビを点けた。ニュースをやっている。和志はスマホを弄りながらニュースを聞いた。弥生からラインが来ていた。
『今日いきなり告っちゃってごめんね。今度の土曜日ライブに行かない?和志くんが好きだって言ってたバンドを観に行こうよ。もちろん友達としてでいいから』
弥生はきっと手が温かいのだろう。生きてるから。冬に手を繋いでも問題がない女子だ。
『いいよ。何処でやるの?』
『東京ドーム。遠いから快速で行こうか?』
二葉が知ったらどう思うのだろう。怒るか泣くか。でもお母さんが言うように二葉は成仏はしないといけない。
『明日、二葉に言うよ』
『え?お墓に行くの?』
弥生は和志が二葉と帰ってることを知らない。言っても問題はないが驚くだろう。
『それは内緒だ』
和志はそうメッセージを送って独り言を言った。
「二葉は複雑だろうな」
次の日に学校へ行くと自分の席に着く。席は一番後ろだ。くじで決まった。弥生が目の前の席に座って言った。
「チケット今日取ろうと思うの。東京ドームって行くの初めて。早めに行って軽くなにか食べようか?」
「うん、そうしよう。二葉も好きだったんだ。あのバンド。僕よくギターで弾いてあげたんだよ」
しんみりしてしまったので和志は笑顔を見せた。弥生は頷いた。
今日はぽかぽか陽気だ。教室の窓からは陽射しが眩しい。二葉が応援してくれているようだ。思い上がりか。
最初のコメントを投稿しよう!