冷たい彼女

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 今日は風が強かった。それでも女子たちはスカートを短くしていて生足だ。ソックスも短い。学校指定のコートは紺色のダッフルコートなので丈は長くない。女子は温かさよりお洒落を求める生き物なんだとつくづく思う。  駅で二人は別れて和志はホームへ行った。向かい側のホームには二葉が立っている。遠目で見ても可愛い。肩までの髪が風でなびいている。  電車が来た。和志は降りる人を確認してから乗り込む。椅子はたくさん空いていたがドアの付近に立った。家がある駅までは二駅だ。わざわざ座る必要はない。  家に帰ると誰も居ないのに「ただいま」と言う。お母さんはパートだし、お祖母ちゃんと御祖父ちゃんとは別に住んでいる。一人っ子なので小学生から鍵を持たされていた。家は二階建てで黄色い壁に茶色の屋根だ。サーフボードが壁に立てかけてある。お父さんがサーフィンをやる。  二階の自分の部屋に行き、リュックを椅子の上に置いた。中から教科書やノートを出して机に並べる。国語の宿題を済ませたほうがいいだろう。和志はリュックを下に置いて椅子に座った。古文をノートに書き写す。
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