冷たい彼女

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 弥生はキツネうどんを注文した。和志は牛丼だ。合い向かいに座る。弥生は目を細くした。 「美味しそう。薄いスープなんだね」 「ああ、ここのは関西風だと誰かが言ってたよ」  和志はそう言って黒い箸を持つ。牛丼には紅しょうがをたくさん乗せてもらった。 「あの、二葉が死んでそんなに経ってないけど、言っちゃうね。私、和志くんが好きなの」 「え、ほんと?」 「うん、二葉のこと忘れられるようになったら考えて欲しい」  平日は毎日のように会ってるから忘れるどころじゃない。ますます好きになるばかりだ。和志は返答に窮した。 「ごめん、ごめん、困らせちゃった。消化に悪いね。あとで考えてくれる?」 「分かった。弥生の気持ちは嬉しいよ」  和志はそう言って弥生の顔をまじまじと見た。小さい顔に目鼻立ちの整ったフェイスライン。二葉がいなければ速攻で付き合いを承諾していただろう。  授業が終わってホームルームも終わる。廊下に出ると白い壁に凭れかかって二葉が居た。和志はにっこり笑う。 「かなり待った?担任の話が長かったんだよ。遅刻する生徒が増えたんだって。僕には理解できないけどな」  朝は平日だと五時に起きている。二度寝することもない。
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