冷たい彼女

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「ケラケラ、ケラケラ」と二葉(ふたば)が笑った。和志(かずし)は頬を膨らませた。ちょっと腹立たしかった。 「手くらい繋ぐのが普通じゃないのか?付き合ってるんだから。僕、傷ついたよ」  またケラケラ、ケラケラだ。和志は諦めた。  今は高校からの学校帰りだ。二人とも高校一年生。二葉は十二月に病気で死んでいる。今は二月だ。なので、死んでからそんなに経っていない。二葉は生きているときから透けるような白い肌をしていてまつ毛の長い大きな目という美少女だ。和志は一重だが目は大きい。アヒルみたいな口だ。校則が緩いので髪を茶色くブリーチしている。  二人は高校に入ってすぐに付き合い始めた。和志からの告白だった。二葉は即座にオーケーした。夏休みにはよく海水浴をした。ここは千葉県だ。海には電車で三十分もあれば行けた。あの頃を思い出すと毎日がキラキラしていた。貴重な時間とも知らずにメガネ型の浮き輪で波を受けていた。二葉はいつも輝いていた。  学校から和志の家まで帰るのは二十分歩いてから電車に乗り、また駅から十分歩く。二葉は電車が反対方向だ。幽霊だから家に帰らずお墓に帰っている。お墓は二葉の家に近い。先祖代々のお墓に入らず親は新しい墓石を建てた。
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