初心者簡易講座

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映像という話をしましたが、僕は執筆の時、頭の中で映像を作って描写しています。 その時は、自分自身が役者になったつもりで、キャラが喋る台詞を、感情を込めて口に出しながら執筆作業をやっているのです。 少しでも臨場感と、リアリティを表現したいからです。 例えばこの前、宣伝掲示板を経由で、読ませて頂いた作品を例に挙げると。 学校に行こうと家を出て歩いていると、激しい地震。振り返ると家が燃えていて、中には母親がまだいる。という設定だったのですが、会話が淡々としていて、まったく臨場感もリアリティも感じられませんでした。 まず大きな地震があれば、それなりにパニックにもなるし、心臓なんかバクバクいってるはずですよね? 慌てて自宅に戻ると、周囲の家を含めて、自宅まで火の海に包まれていたら、普通の会話なんてとても出来ません。 「う、嘘だろ……。母さん! 母さぁああああああああああん!」 「おい、どうした!」 呼ばれて振り向くと、隣の家のオジサンが蒼褪めた顔で立っている。 「オジサン! 母さんが……母さんが中に! 助けに行かないと」 「待て! もう無理だ!」 「離せよ! 離してくれって!」 「止めろ! もう無理だ。諦めろ! 行ったらオマエまで助からん!」 「そんな……そんなの。うわぁあああああああああああああああ」 くらいな感じになりませんか? 他には、例えばえん罪で痴漢と間違われたとき。 「この人痴漢です!」 「違いますよ」 「いいえ、私ハッキリ見たんです」 「誰かと間違えてるんじゃないですか?」 「間違えてなんかいません」 「そんなこと言われても、知りませんから」 っていう会話にはなりませんよね? だって覚えのない疑いで、突然相手に詰め寄られてるんですよ。 「この人痴漢です!」 「えっ……。お、俺? いやいやいや、違う違う違いますよ」 「いいえ、私ハッキリ見たんです」 「えっ、嘘でしょ? 俺じゃありませんって、誰かと間違えてるんじゃないですか?」 「間違えてなんかいません」 「いや、でも、そんなこと言われても、本当に何も知りませんから」 こんな感じになると思うのですよ。 政治家だって、答弁の最初は「えーーーただ今の件に関しましては……。えーーー先ほどご指摘のありましたように」 みたいに「えーーー」なんて入れますよね。 何を喋るか頭の中で考えてる時に口から出るヤツですけど、淡々と 「ただ今の件に関しましては、先ほどご指摘のありましたように」なんて会話はしないはずなんです。 なので、会話の最初に「えっ」とか、「あっ」とか入れてやると、リアル感がまします。
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