215人が本棚に入れています
本棚に追加
映像という話をしましたが、僕は執筆の時、頭の中で映像を作って描写しています。
その時は、自分自身が役者になったつもりで、キャラが喋る台詞を、感情を込めて口に出しながら執筆作業をやっているのです。
少しでも臨場感と、リアリティを表現したいからです。
例えばこの前、宣伝掲示板を経由で、読ませて頂いた作品を例に挙げると。
学校に行こうと家を出て歩いていると、激しい地震。振り返ると家が燃えていて、中には母親がまだいる。という設定だったのですが、会話が淡々としていて、まったく臨場感もリアリティも感じられませんでした。
まず大きな地震があれば、それなりにパニックにもなるし、心臓なんかバクバクいってるはずですよね?
慌てて自宅に戻ると、周囲の家を含めて、自宅まで火の海に包まれていたら、普通の会話なんてとても出来ません。
「う、嘘だろ……。母さん! 母さぁああああああああああん!」
「おい、どうした!」
呼ばれて振り向くと、隣の家のオジサンが蒼褪めた顔で立っている。
「オジサン! 母さんが……母さんが中に! 助けに行かないと」
「待て! もう無理だ!」
「離せよ! 離してくれって!」
「止めろ! もう無理だ。諦めろ! 行ったらオマエまで助からん!」
「そんな……そんなの。うわぁあああああああああああああああ」
くらいな感じになりませんか?
他には、例えばえん罪で痴漢と間違われたとき。
「この人痴漢です!」
「違いますよ」
「いいえ、私ハッキリ見たんです」
「誰かと間違えてるんじゃないですか?」
「間違えてなんかいません」
「そんなこと言われても、知りませんから」
っていう会話にはなりませんよね?
だって覚えのない疑いで、突然相手に詰め寄られてるんですよ。
「この人痴漢です!」
「えっ……。お、俺? いやいやいや、違う違う違いますよ」
「いいえ、私ハッキリ見たんです」
「えっ、嘘でしょ? 俺じゃありませんって、誰かと間違えてるんじゃないですか?」
「間違えてなんかいません」
「いや、でも、そんなこと言われても、本当に何も知りませんから」
こんな感じになると思うのですよ。
政治家だって、答弁の最初は「えーーーただ今の件に関しましては……。えーーー先ほどご指摘のありましたように」
みたいに「えーーー」なんて入れますよね。
何を喋るか頭の中で考えてる時に口から出るヤツですけど、淡々と
「ただ今の件に関しましては、先ほどご指摘のありましたように」なんて会話はしないはずなんです。
なので、会話の最初に「えっ」とか、「あっ」とか入れてやると、リアル感がまします。
最初のコメントを投稿しよう!