なゆき六花さん

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このページまで読んでまず、思ったことを書くと。 相変わらず、前作ありきの構成です。 この作品から読み始めた読者は、九妖閑話の世界観が伝わっていない状態からの読書なので、まずリアリティが感じられないです。 このシリーズを知らずに、初めてこの作品を読みに来た読者の場合、まず主人公に感情移入して読み進めて行きます。 最初のシーンでは、17歳の男の子が自宅に帰ってきました。 すると夕飯を調理中の母が意識を無くして倒れていて、傍らで妹が泣き叫びながら、母の身体を揺すっています。 彼は震える手で救急車を呼び、父に電話をかけて帰宅を促します。 救急車が家に到着し、救急隊員に状況を聞かれましたが、自分は母が倒れたときの状況は分からず、妹は要領を得ない返答しか出来ない状況です。 母の状態を確認すると、体温は温かいが意識が無く、脳梗塞や心筋梗塞が疑える状態です。 そんな状況で父が帰って来たと思ったら、父は「妹のことを頼めるか?」と言って出て行ってしまう。 これはおそらく、救急車で病院に同乗したのだと思われますが、その一文がありませんし、残された兄妹は、母が生死の境を彷徨っているというのに、家に残って食事をします。 僕がこの主人公の立場であったなら、父親と妹と共に、病院に着いて行くと思うのです。 なので、このストーリー進行で行くのでしたら、父親から一言欲しいです。 「柊護、つばさのことを頼めるか?」だけでは不十分なので、 「柊護、俺は母さんについて病院に行ってくる。状況は逐一報告するから、お前は残ってつばさのことを頼む」 この台詞だけでも伝わりますが、少し続けてみます。 「でも、僕も病院に……」 「気持ちは分かるが、頼む……」 「ぅ……。うん。分かった。何かあったら絶対に電話してよ」 「ああ、約束する。じゃあ行ってくるから」 こんな感じのやり取りがあれば、その後の残された兄妹の状況に、読者はスムーズに感情移入出来ます。 P7 『それから父は、その屋敷に住む巫女に頼めば願いを叶えてくれるという。 もちろん、それなりの対価を支払えば。』 この文も、前の文から続けて読むとおかしいです。 「それから父は、その屋敷に住む巫女に頼めば、願いを叶えてくれると言った。もちろん、それなりの対価を支払えば……と。」 「そして父は、その屋敷に住む巫女に頼み、それなりの対価を支払えば、願いを叶えてくれると言った。」 ここの父親の台詞も、もう少しリアリティのある感じにした方が良いと思います。 『「お父さんとお母さんは若い頃、あるお屋敷で働いていたんだ。そのお屋敷には三人のカミサマが住んでいて、その声をきく巫女も三人住んでいる」』 「「お父さんとお母さんは若い頃、あるお屋敷で働いていたんだ……」  「えっ?」  「そのお屋敷には、三人のカミサマが住んでいて、そしてその声をきく巫女も三人住んでいる……。その巫女は頼めば願いを叶えてくれるんだ。もちろん、それなりの対価は必要だが……」」 「ちょっと待ってください。なんでいきなりカミサマとか巫女とか、突拍子もない言葉が出て来るんですか? お母さんは無事なんですか?」 こんな感じではないでしょうか? まだまだ序盤なので、綾瀬家のことなどが出て来ていませんが、妹に不思議な能力が備わっていることと、そして両親が過去に住んでいた、カミサマと巫女がいる不思議な家の存在。 そして妹だと思っていた子が、実はその不思議な家の子であるという状況が分かるので、続きに期待が持てる書き出しで、凄く良いと思います。 更新頑張ってください。(*´ω`*)
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