森川翼さん

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森川翼さん

黒き喪失 https://estar.jp/novels/25813819 まず、あらすじに一九二三年十二月二十五日とあるのですが、そこを読まない読者って結構いるので、本文の最初にも、日付だけではなく、西暦も入れてください。 そうしないと、これが大正時代の話だと分からないので、文章に違和感を覚えます。例えば「看護婦」とか「精神病院」とか、令和の時代には使わないですから。 個人的には、西暦よりも、大正十二年とかの方が、読者に時代が伝わるような気がします。 時代背景で細かいことを言うと、大正十二年に電話機は、そこまで一般家庭には普及していないと思うので、先輩看護婦に相談の電話は……の辺りは、時代考証が怪しいです。 P4のナースコールも、当時そのシステムがあったかどうか、怪しいのではないでしょうか? 仮にあったとしても、当時ですから、電子音ではなくベルのような気がします。 最期まで読んで、特に大正12年である必要性は感じられなかったので、昭和30年くらいでも良いのではないかと思いました。 そして本文なのですが、書き出しはすごく良いと思います。 この後、ベタな展開が起こる期待感がすごく持てます。 で、P6で登場な訳ですが……。 僕の理解力では、よく分かりませんでした。写真の女性の髪が白かった。ということで、先生の奥さんなのだと思ったのですが、 もし、先生の奥さんなら、一階の保護室に閉じ込められているはずなのに、三階で何をしていたの? とか、稔ちゃんはどうなったの? とか、 最後、何が起きたん?(;´・ω・) 何で記憶がなくなったの? とか、 オチもないし、伏線回収もないし、よく分からないです。 せっかく前任者がいなくなったというフリを作っているのだから、そこを回収しないと勿体ないです。 例えば、保護室に駆け込んで待機していて、女が来たら入れ替わって閉じ込めようと部屋に入ったら、そこに前任者のミイラ化した遺体があったとか、もしくは稔ちゃんの遺体があったとか……。 あと、一番の盛り上げ場は、偲月ちゃんと二人で、二〇一号室で、やり過ごすところなんですけど、入ってきてから、出て行くまでが三行ほどの描写なので、あそこはもう少し臨場感を出して引っ張ってやったほうが良いと思いました。 例えば僕だったらこんな風に書きます。 声をあげそうになる偲月ちゃんの口を必死に抱きしめて塞いでいると、扉がゆっくりと開いた。 心臓がバクバクと音を立て、口から飛び出してきそうだ。 ギシッ……ギシッ……。 女が中に入って来る。 この位置からでは足元しか見えない。 ――お願い。出て行って……。 ギシッ……。足が止まった。 偲月ちゃんの口を押える手が、ブルブルと震え、相変わらず心臓が爆発しそうだ。 ――お願い……。お願いだから……。 女がしゃがもうとするのが分かった。 ――イヤ! 見つかっちゃう! とはいえ、震えて息を殺している事しか出来ない。 ――お願い! 出て行ってよ! 思わずギュッと目を閉じた。 一秒……。二秒……。三秒……。 ――お願いだから、出て行って。 ギシッ……。 足音で目を開くと、女は覗いてはおらず、祈りが通じたのか、女の足は出口の方に向き直っている。 ――そのまま。お願いそのまま出て行って。 ギシッ……。ギシッ……。 女はそのまま廊下に出ると、扉も閉めずに階段とは反対の方に向かった。 こんな感じでどうでしょう? 基本的には読み易くて、文章力もある方ですから、ファンは増えると思います。……が、しかし、 あらすじには、死亡者十八名、生存者わずが四名とあるのですが、結局事件の真相も分からないし、生存者の四名が誰かも分かりません。読者に、読後に「何で?」と思われないようなストーリーにしてあげないと、結構文句を言われます。 経験者のわたくしが言うのですから、間違いありません( ノД`)シクシク… 東京の幽霊が、何で香川に出るんだとかね。 そんなもの、幽霊なんだから、どこに出たっていいじゃん! と、こちらサイドは思うのですが、結構読者はうるさいです。 それから、ホラーの場合は心理描写を少し大げさに表現した方が、読者に共感を得ることが出来ると思います。 頑張ってください( *˙ω˙*)و グッ!
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