208人が本棚に入れています
本棚に追加
亀井 圭さん
シタマチ・インシデント
https://estar.jp/novels/25823181
この作品はですねぇ…………面白いです。
行間字詰めの為、エブリスタでは敬遠されがちですが、文章的におかしいところも無いですし、読み物としてはとても良い作品だと思います。
特に舞台設定と、キャラクターが良いです。
日テレ系で放送されていたネメシスという探偵系のドラマがあって、視聴率が一桁台で結構叩かれたんですけど、僕は面白くて毎週楽しみにしていました。
本作を読んで、そのドラマが頭の中に浮かんだので、それを引き合いに出そうと思います。
主人公の有瀬は、江口洋介ですよね。櫻井翔ではないです。
そして、広瀬すずが演じるアンナが、「私入ります」と言って、自分の記憶の中に入って違和感を捜すシーンがあるんですけど、本作の沙良ちゃんが、お店のお客さんの会話を記憶していて思い出すシーンで、あの映像が頭に浮かびました。
で、ネメシスというドラマで言うと、情報を共有できる警察官がいて、情報屋兼道具屋がいて、AI開発も出来る天才ハッカーがいて、という感じで主人公を助けるキャラが多数いるのですが、
本作だと警察官時代の後輩の高柴がいることで、警察の情報を引き出せ、藍ちゃんがお客さんから情報を聞き出す情報屋の役割、ネットストーカーの奈々ちゃんが、ハッカーの役割をしていて、それぞれのキャラが探偵小説に必要な役割を演じています。
舞台設定とキャラクターでいうと、100点だと思います。
ただ、本作はミステリージャンルの作品ですから、謎を解決する探偵小説として捉えると、やや弱いかなぁと思います。
人が殺されて、その謎を解く。といった必要はありませんし、老人が嫌いで麻薬を混ぜたタバコを作ってばら撒くという動機も悪いとは思いませんが、犯人に辿り着くまでの過程が、少しあっさりと描写し過ぎな感が否めないです。
そもそも、ミステリー小説って、早い段階で犯人が登場していないといけないはずなのに、謎解きのシーンまで犯人が出て来ていないし、主人公が携帯ショップに行ったシーンもありません。
これでは、ミステリー好きの読者を納得させることが出来ませんし、舞台設定とキャラクターが素晴らしい分、ガッカリ感も大きいです。
ミステリーの鉄則は、早い段階で怪しいヤツと、怪しくないことが逆に怪しい容疑者候補を多数登場させて、読者に誰が犯人であるかを、あれこれ推理させてやらなければならない。ということだと思います。
本作で言うと、早い段階で主人公を携帯ショップに行かせて、犯人と会話をさせてください。
それプラス、あと数人怪しいヤツを登場させると良いでしょう。
頑張ってください。(*´∀`)ノ■はい、沙良ちゃんにチョコ
最初のコメントを投稿しよう!