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ここでちょっと僕個人の話を挟みます。
先ほど、僕は栞を増やしたいという欲求は、現在なくなっているからです。
と書きましたが、その理由を少々。
過去に某社の編集者に執筆の依頼を頂いたとき、こんな話をと依頼されて、プロットを作ったら、ざっくりとした要領を得ないダメ出しをされ、作り直して提出すると、またまた大雑把なダメ出し、じゃあどうしたら良いのかと質問すると、それは自分で考えろと言われました。
先方の言い分は分かるのですよ。対象読者層にバズるものを書いて欲しいと言うのはね。
商業目的ですから当然の依頼なのですが、僕は人から言われて書くのが性に合わないので、それ以来小説家になるのは諦めました。
自分が書いていて楽しい物しか書きたくないからです。なので今は、本棚に栞が一つも入らなくても、構わないと思っているのです。
なぜなら今の僕は、たった一人の読者に喜んでもらうために書いているからです。
その読者というのは、数十年後の自分でして、将来老人ホームで暇を持て余したときに、自分が書いた小説を読み返し「若い頃の俺って天才やなぁ、めっちゃ面白いやん」とニマニマしながら涅槃に旅立てたら幸せだろうなぁ……なんて思っているからなのです。
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