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後はですねぇ、今までにも散々他の人の書評で書いて来たんですけど、会話を地の文で挟んだり、まず地の文でこれから会話をしますと読者に伝えてから、台詞が始まるのは、それだけで懐古調になってしまって、現在進行形のリアルさに欠けます。
例えば、P6の二人でドライブに行ったシーン。
森広は提案する。
「今日は天気も良いし、灯台の上は人が多くなってきたから、北側に見える海岸に行ってみようよ」
奈帆は答えた。
「うん。きれいな海岸だし、行ってみましょう」
森広は太平洋を見つめて言った。
「裕美子は戻って来ない。」
森広は、僕自身思ったことだけどと、前置きして言う。
「美しく余裕をもって、そして前を向く、その決心に気持ちが追いつくまでには、時間がかかるかもしれない」
森広は続ける。
「それでも、僕はずっとあたたかく見守ってくれた奈帆さんと交際したい」
奈帆は表情をほころばせて、
「森広くんが今まで苦悩していたこと、痛いほど分かってる。でも、やっと一歩踏み出せたね。私と良い恋愛ができると素敵だと思う。森広くんが私との新たな関係を築く決心をしたことは、本当にとても嬉しい。よろしくお願いします」
このように、台詞の前にこれからどっちが喋るかという地の文を入れてしまうと、読者に対して一々「話す」とか「言った」とか「答えた」とかそういう述語が必要になってしまいます。
このエッセイの9ページにも書いてありますが、そこを引用すると、
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そして、この⑥番目の台詞の後に地の文をいれるとき、『美穂が言った。』というように『言った』という言葉は出来るだけ使わないようにしましょう。
某テレビ番組の俳句の先生に「言ったなんて書かなくても、台詞なんだから言ってるに決まってるでしょ」とツッコミを入れられそうです。
なので、ここでは喋ったキャラの行動や状態を書きます。
「そうだよね。私なんて後回しだよね」
美穂が暗い顔になる。
とか、美穂が泣きそうな顔になった。
と、表情や状態を入れた方が、読者に映像として見てもらえます。
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上記を踏まえて、このシーンを書くと
「今日は天気も良いし、灯台の上は人が多くなってきたから、北側に見える海岸に行ってみようよ」
「うん。きれいな海岸だし、行ってみましょう」
森広の提案に、奈帆は笑顔で微笑んだ。
「裕美子は戻って来ない。」
森広は太平洋を見つめたまま、裕美子が残した手紙の内容を奈帆に伝えた。
「あのさぁ、これは僕自身が思ったことなんだけどね……」
「うん」
「美しく余裕を持って、そして前を向く、その決心に気持ちが追いつくまでには、時間がかかるかもしれない」
森広はずっと見続けていた太平洋から、視線を奈帆に向ける。
「それでも、僕はずっとあたたかく見守ってくれた奈帆さんと交際したい」
「ぁ……ぅ、うん。森広くんが今まで苦悩していたこと、痛いほど分かってる。でも、やっと一歩踏み出せたよね。本当にとても嬉しい。よろしくお願いします」
奈帆は心の底から嬉しくて、深々と頭を下げる。
「ありがとう。こちらこそよろしくお願いします」
森広は改まって頭を下げる奈帆を見て、自分も笑顔で頭を下げた。
こんな感じですかね。「言った」という単語を使わなくても、会話が成立してるでしょ?
そして、この辺りの台詞もですけど、二人が丁寧過ぎるのも昭和感が出てしまうので、もう少し砕けた表現の会話にした方が良いのでは思いました。
特に奈帆ちゃんの
「森広くんが今まで苦悩していたこと、痛いほど分かってる。でも、やっと一歩踏み出せたね。私と良い恋愛ができると素敵だと思う。森広くんが私との新たな関係を築く決心をしたことは、本当にとても嬉しい。よろしくお願いします」
この台詞なんて、昭和のドラマのシーンしか、僕の頭の中に浮かんできませんでした。
この辺りを、もっと現代風の今どきの女の子の台詞にしてあげないと、今どきの女の子たちには、感情移入して読んでもらえないと思いますよ。
それからストーリーもですねぇ、「君の膵臓を食べたい」という作品を知っている読者からすると、少し弱いかなぁ……と思ってしまいます。
あの作品も、膵臓の病気で死期が迫っている女の子が、結局通り魔に殺害されて、天寿を全う出来なかったわけですけど、君膵と比較すると、本作は短編ということもあって、どうしても舞台設定とか、オチとか、弱いかなぁと思ってしまうんですよ。
そこに持って来ての、昭和感……。
(;^ω^) なので、どうしても、爽やかな読後感というのは、僕には感じられませんでした。「君膵」を読んでなかったら、違った感想になっていたかもしれないですけど……。
と、言うことで、もう少し頑張りましょうですかね。(;・∀・)
なので、今回はチョコは無しです。次回のリベンジをお待ちしております。
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