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猫とろさん
僕とくーちゃん
https://estar.jp/novels/25956500
ご依頼の内容が、
「私にも何か良いところがあれば教えて下さい。
そして、一番ダメ(改善点)なところも教えて下さい。」
ということなのですが、猫とろさんは春葦会のメンバーなんですね。
雪村さんとか、仁科さんといった実力者揃いのところですから、猫とろさんもかなりの実力者なのではないかと、期待して読ませて頂きました。
まず、物語の舞台設定。
これはすごく面白いです。さすが春葦会の方ですね。と、感心しきりです。
主人公が、途中から変わるのも、人称を「僕」と「俺」に分けているので、自然な流れで出来ていますし、何より「くーちゃん」の謎に迫る進行が、上手く作られているので、読者に先へ先へとページを捲らせることが出来ていると思います。
全体を通しては、すごく良い作品だと思いました。ただ……
物語としては、面白いのですが、やや残念な仕上がりになっているのも、否めません。
このエッセイの、スター特典を読まれたと思いますので、1ページの文字数が多いとか、台詞を地の文で挟まないとか、地の文でノンアルビールみたいに略さないとか、ステアするみたいな専門用語を使わないといった、基本的なことにはあえて触れません。
そのうえで、まず書き出しなんですけどね。書き出しは本当に大事です。
「くーちゃん」という謎のキャラが出てくるのですが、その正体は隠しておきたい。
という意図は分かるんですよ。でも、読者にページを捲ってもらうためには、映像で状況を見せてあげる必要があるんですよ。
そうでないと、くーちゃんが「人間」なのか、「ペット」なのか、「人形」なのか、「オブジェ」なのか、「主人公の空想」なのか、まったく分からないので、読者はそっちばかりが気になって、肝心の本文の方に入り込めないのです。
まず「ほっそりとした足に頬ずりしていた」なので、脚のある何かだと分かります。
次に「実家から持ち出した、紅絹の着物から除く白い足」なのですが、持ち出したという表現なので、生き物ではなく人形かと思うわけです。
ところがすぐに「ふうっと吐息をこぼすのみ」とあるので、生き物であるわけです。
もう、こうなると、情報がぐちゃぐちゃなので、読者の頭の中が「???」となってしまいますから、物語の進行よりも、そっちの方に意識が行ってしまいます。
もう少し、読者が映像で見えるような描写を入れても良いのかなと思いました。
あまり細かく描写を入れたくないのでしたら、実家から持ち出した。を、幽閉されていた実家から連れ出した。にするだけでも、推理の選択肢が減るので、読者に親切です。
僕がこの作品を書くのだったら、くうちゃんが人間の顔をしているという情報を、最初のページに差し込みますけどね。
身体のことには触れず、顔が人間だという描写を入れてやると、読者は安心して、物語の世界観に入ってきてくれるように思いますけど……。
書き出しに関して言うと、そこだけが引っ掛かったので、検討してみてください。
そして2ページ目に進んでいくのですが……。
長くなるので次へ
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