そこら辺の人さん

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そしてここから登場人物の紹介っぽい物語が始まるのですが、文中で「ラントは癖のある色味の薄い茶髪にエメラルドのような瞳を持つ、整った顔立ちの19歳の青年である」という紹介が入ります。 次にナタカ、そしてムジナ、最後にアンナ。 こういうのは地の文でやらない方が良いです。 読者にキャラの情報を伝えて、映像で観てもらうのは必要なことではありますが、最初に大勢のキャラが出て来て、その説明をされても、読者はついて行けないので、チンプンカンプンだし、ただただ読みづらいだけです。 なので、序盤でこれをやってしまうと、先まで読んでくれない読者が多発する為、今回は栞が入らないのではないでしょうか? こういう場合、挿絵でもあれば分かり易いのですが、それがない場合、一度に多くのキャラを登場させず、少しづつ登場させて、各キャラの容姿などは、キャラ同士の会話などでさり気無く挟んでください。 なので、出来ればパーティーを組んだ状態で物語を始めるのではなく、桃太郎のように一人ずつ増えていく方が良いのですが、この作品の場合、聖女アンナが一人で魔王と対峙するのが見どころな訳ですから、書き出しで一人ずつメンバーを増やして行くようなやり方は逆にNGなので、幾分仕方ないところではありますが、そうであったとしても、とりあえずキャラの細かい紹介を地の文で書き込むのはやめた方が良いでしょう。 ちょっとやってみます。 「はっ!」 薄茶色の髪を振り乱し、勇者ラントは気合と共に剣を振り下ろす。 「ぐぎゃ!」 魔物は断末魔の悲鳴と共に絶命し、ただの肉片となった。 「大丈夫か、みんな?」 ランスはエメラルドのような綺麗な瞳で、パーティーの仲間の安否を確認する。 「大丈夫も何も、全部オマエが倒してしまったじゃないか。まったくまだ19歳だというのに、20年以上も剣士をやっている俺の出る幕がまったくなかったよ」 剣士のナタカが、長い黒髪をかきあげながら、ため息交じりに首を左右に振った。 「本当だよ。せっかく最近覚えた、超絶イケてる黒魔法を使いたかったのにさぁ、ラントがいるとあっという間に魔物を倒しちゃって、全然つまらないよ」 ムジカは紫色の瞳でラントを睨んだ。 「まぁ、そう言うなよ。魔物にビビって、ムジカの髪がこれ以上白髪になったら可哀想だと思って、俺が全部倒してやってるんだから」 「ちょ、白髪じゃないし! シ、ル、バー、だし!」 ムジカはいつもの髪の毛イジリに対して、いつも通りの文句で返した。 「ってことだから、俺がいればオマエの出番なんてないから、帰っていいぞアンナ」 ラントは金髪の少女に向かって、ニヤリと微笑んだ。 「なりません。聖女は勇者と共に魔王と戦う定めですから」 アンナはサファイアのような綺麗なブルーの瞳で、ラントを見つめた。 こんな感じですかね。 でも、あんまり髪の色とか、瞳の色を各キャラごとに設定して、全部紹介すると、そればかりが際立ってしまい、肝心の本文に集中できなくなるような気がするので、その辺りは読者任せでも良いのではと思いますけど。 ページを変えます。
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