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続きです。
そして、2ページ目。新入社員に話しかけられて、邪険に突き放し、同僚に話しかけられる。というシーンなのですが、まったく映像が見えません。
稲本くんの容姿についての描写や、弥穂ちゃんの描写、それどころか主人公の描写もありません。
ここに至るまでに、主人公館山朱里のヘアースタイル、髪の色、身長、体重、性格……。
唯一分かっている情報は、勤続四年ということくらいです。
僕がこのページを書くなら、こんな風に書きます。
2P 葛西竜哉バージョン。
「館山さん帰りましょうよー」
子供の頃に飼っていた、柴犬のコロにそっくりな顔で、稲本くんがシッポを振って来た。
「あのねぇ……。私はまだ仕事が残ってるの。稲本くんは先にあがって良いわよ。もう定時過ぎたんだから」
私は顔にかかった栗色の髪をかき上げ、コロ……もとい、背の高い稲本くんを見上げる。
「方向一緒じゃないですか」
稲本くんはさらに言葉を続ける。
カマってちゃんだったコロが、また頭の中に浮かんだ。
「社外で一緒に行動する必要、ある?」
今度は彼の方へは目を向けず、キーボードを叩きながら質問を投げかけた。
「えーー。分かりました……。じゃあ、お先に失礼します」
「はい、また明日ね。お疲れ様」
ペコっと頭を下げると、稲本くんはオフィスを出て行った。
「朱里―、稲本に冷たいんじゃない? あんなに懐いてるのに」
下世話なことが大好きで、水商売の方が似合ってそうなビジュアルの、同期の七尾弥穂が肘で突いて来た。
「そんなことないよ。教えることは、ちゃんと教えてるし」
手を動かしたままで、視線を弥穂に向ける。
「それより残業してていいわけ? デートは?」
弥穂がニヤッと微笑んだ。
「それは……こないだ別れたから……」
「え?」
弥穂が目を見開く。
「別れたんだよ。色々あってさぁ」
「えーー! 別れたの!?」
定時を過ぎたばかりだから、事務所内にはまだ多くの人が残っていた。
「ちょ、弥穂、声が大きいって」
慌てながら周囲を見回すと、みんなこっちを見ている。
「ねぇ、何で何で?」
「だから、シーッ!」
人差し指を口の前で立ててみたものの、時すでに遅しで、弥穂の絶叫によって、私がフリーになったことが、周囲に知れ渡ることとなった。
こんな感じで、キャラたちの情報を小出しにしていくと、読者がキャラをイメージし易く、感情移入し易くなると思います。
あとは、道中で台詞だけが連続で続くところが結構ありますけど、あの辺りも心情とか状況の描写を挟んだり、台詞も淡々と続け過ぎない工夫をするとよくなると思いますよ。
完結まで頑張ってください(*‘∀‘)ノ■ ハイ、チョコ
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