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タケが調子に乗って‘とわちゃん’って…くそっ、俺より先に呼んでんじゃねぇよ。
いつもなら蹴りを入れるところだが彼女の前だ、我慢して様子をみる。
緊張して声は出せないでいる様子だが、何とか意思表示はしている。
さりげなく‘十和’と呼ぶことに成功したからタケの調子のいい事に
今日のところは感謝だ。
「とわちゃん、熱中症で倒れたところを彼が運んでくれたんだよ。
いま気分はどう?」
「…」
「タケ、yes か no で答えられるように聞け」
「うぉ、さすが暁仁。あっ、とわちゃん。あいつ暁仁、中田暁仁。
俺と同じ30歳」
こっち見た。コクン。
「じゃもう一度聞くね。頷くだけでOK。だけど何かあったら
ちゃんと詳しく聞きたいから、絶対言ってね」
コクン。
「気分悪い?」 ううん
「痛いところある?」 ううん
「頭痛い?」 ……
「とわちゃん、頭痛いかな?」 ……
下を向いてしまった。
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