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「タケ、場所変われ」
「えー何なに?診察中だよ」
無視してタケの座っていた椅子に座る。
下を向いてしまった十和にゆっくり声を掛ける。
「十和、そのままで大丈夫だ。知らない人は緊張するよな。
タケはうるさいが、いい医者だぞ。診察だけちゃんと受けて欲しい」
下を向いたまま、コクン。
30度程度の角度をつけたベッドで下を向く十和の腹あたりに
そっと俺の手を掌の上にし開いて置く。
「手、乗せられるか?」
しばらくして、俺の掌に十和の親指以外4本がそっと乗った。
ぎゅっ握りたいところを耐える。ゆっくりだ。怖がらせてはいけない。
「いい子だ、十和。タケ続き」
「ハイハイ、とわちゃん、いま紹介された通りいい医者の俺の質問に答えてね。
頭痛いのかな?」
「…」ううん。
「十和、痛くはないけどなんかあるのか?」
俺の掌に触れた指がピクッと動く。タケを見て頷く。
「頭が重い感じ?」
…コクン
「…重くて…ぼぉー…って起きているのに…寝ている…みたいです」
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