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「入院、嫌か?」
手を握って聞く。
…コクン…ゆっくり顔を上げて目があった十和の茶色い瞳は潤んでいた。
くそっ、俺の我慢の限界は大丈夫か…
一旦、目を逸らすと、タケに強い視線を送る。タケは一瞬ぎょっとしたが
諦めたように頷いた。タケとはチームにいる頃から、こういうところはよく通じて楽だ。医者の了解を得たんだ。好きにさせてもらうぞ。
「十和、俺の家に来るか?」
訳がわからないといった感じで俺を見ている。
「俺、十和のこと前に見かけた事があるんだ。
‘Green Leaves’で働いてるのか?」
十和の瞳が大きく揺れている。
「あーストーカーじゃないんだぞ。あの店の裏から出てきたところを見かけた。
穣さんの店だろ?穣さんはよく知っているんだ、店には最近行けてないけどな。
良く知った店から出てきたから覚えている」
穣さんの名前に目を見開いた十和。潤んだ瞳が強調される。煽るなよ。
「今日たまたま十和が歩いているところに通りかかって
こうして初めて話しているが俺は初めての感じはしない。
名前も知らなかったけどな」
十和が首を横に傾げた。
「ふっ、で、なんで家?ってか」
「おいおい、暁仁。お前マジすげー。とわちゃんの顔見て何でもわかるのか?すげぇ…なぁ、とわちゃんも思うよなぁ」
コクンコクン。
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