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病室に戻り、まだ目を閉じたままの彼女を見つめる。腰ほどまでの長い髪は
色素が薄いのと幼子の髪のような細さが合わさって、全く重さを感じさせない。
整った眉も長い睫毛も髪と同じ薄い茶色だ。すっと通った鼻筋に小さい小鼻。口は小さいが唇は程好くぽってりとしている。
マスクの下にこんな俺好みのパーツを隠していたのか、と
感動を覚えながら真っ白な小さい顔を見つめる…触れたい。
半年間見ているだけだったのに、いきなり抱き止め、抱きかかえたんだ。
そしてこんなに近い距離にいて我慢できねぇよな。
タケの忠告を忘れたわけではなかったが…そっと片手で頬を包んだ。
ふっ、自分の頬が緩むのを感じる。目を開けたところが見たい。
すると彼女の瞼がピクッとしたようでそっと手を離し
少し距離を取るよう彼女の足元へ移動し様子を見る。
ゆっくり目を開けた彼女は、視界も頭もぼんやりしている様子だ。
くそっ、色っぽいじゃねぇか。俺に気づいてくれ。
だが、彼女が気づかないので堪らず声を掛けることにする。
できるだけ安心させて怖がらせないように、ゆっくり優しく…ん?優しく声を掛けるってどうすんだよ。人生30年、そんなこと考えた事ねぇよ。
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