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COVID―19が全世界の人々にパンデミックをひきおこした年から、すでに丸3年経過していた。今は西暦2023年である。
ぼくの名前はリュウ。小学5年生だ。ママもパパも「自分たちがリュウみたいな年の頃は日が暮れるまで外で遊んだ」というけれど、ここ3年は外で遊べてないのが不満な男子だ。
遊べないどころか、最近は外で空気をまともに吸ったこともない。一応学校には行っているけれども、通学には防護服のような厚手のビニールの服を頭から爪先まですっぽりとおおい、ファスナーをきっちりとめて、さらにその上からボタンをはめるという、重装備をしているからだ。
顔の部分は透明になっていて、口のところもフィルターが何層にも重なっている空気取り入れ口があるけれども、ここから吸う空気は純粋な空気ではないのかな、と思っている。
コロナだから、仕方ない、のだ。
この言葉は何度聞いただろう。
あの劇場版の『コロナ対人類』というドキュメントの映画のはじめの部分でもやっていたけど、センザンコウを宿主として広がった2020年の新型コロナウィルスは次の年に、変異種が、南アフリカとイギリスで見つかり、そして次々と、つまり2年目の終わりには7つの変異種が発生し、そして次の年には11,13,17と増えていった。
『素数だ』とパパは云った。
『だから? それに何か意味があるの?』とママはいちゃもんをつけたけど、どちらも深い意味はなかったらしい。
ちなみにセンザンコウという動物はぼくは結構気に入っている。まるで鎧をつけているようでカワイイ、ペットにしたいくらいだ。
もちろんママには絶対云わないけど。
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