アフターコロナ 2023

2/29
前へ
/29ページ
次へ
 パパの話だ。パパは半導体の工場で働いている。半導体はすごく人気があるというか、世界中でたくさん欲しがられている。そういうわけで、パパはシフトで24時間動いている工場で働いているので、滅多に帰ってこられない。  ぼくはパパの身体がすごく心配だ。  でも、ママは「工場のほうが安心だから」 と話す。半導体の工場は、コロナが流行るずっと前から、ほこりや異物がつかないように、防護服のような恰好で仕事をしていたという。工場の中はすごくクリーンだからウィルスの侵入も絶対にない、とママは云うのだ。  ぼくは、くわしい所はわからないけれど、でもコンピューターには半導体が必要らしいから、やっぱり、そこらへんは政府がきちんとやっているのだろう。    今やコンピューターなては生活は成り立たなくなっていたし。  今日ぼくが朝ごはんを食べる時に、ママは云った。 「リュウ。今日は帰ってもママは授業中だから、仕事部屋には入らないでね」 「わかった。ところでママ、今日の夕ご飯はなに?」  ママは冷蔵庫にスマホをタッチすると献立表を見る 「今日はチキンのトマト煮込みと、ミモザサラダよ」 「えーぼく、たまにはぶっかけうどんの温玉のせとか食べたいよ。それとかチキンでも辛いタイプのクリスピーのやつ」 「リュウ、わかっているでしょう。献立は絶対に変えられないの」ママは苛ついていた。「ママだって、鰹のたたきとか食べたいけど、もう、食品はすべて配給制になったのだから」とくやしそうに云う。  
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加