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パパの話だ。パパは半導体の工場で働いている。半導体はすごく人気があるというか、世界中でたくさん欲しがられている。そういうわけで、パパはシフトで24時間動いている工場で働いているので、滅多に帰ってこられない。
ぼくはパパの身体がすごく心配だ。
でも、ママは「工場のほうが安心だから」
と話す。半導体の工場は、コロナが流行るずっと前から、ほこりや異物がつかないように、防護服のような恰好で仕事をしていたという。工場の中はすごくクリーンだからウィルスの侵入も絶対にない、とママは云うのだ。
ぼくは、くわしい所はわからないけれど、でもコンピューターには半導体が必要らしいから、やっぱり、そこらへんは政府がきちんとやっているのだろう。
今やコンピューターなては生活は成り立たなくなっていたし。
今日ぼくが朝ごはんを食べる時に、ママは云った。
「リュウ。今日は帰ってもママは授業中だから、仕事部屋には入らないでね」
「わかった。ところでママ、今日の夕ご飯はなに?」
ママは冷蔵庫にスマホをタッチすると献立表を見る
「今日はチキンのトマト煮込みと、ミモザサラダよ」
「えーぼく、たまにはぶっかけうどんの温玉のせとか食べたいよ。それとかチキンでも辛いタイプのクリスピーのやつ」
「リュウ、わかっているでしょう。献立は絶対に変えられないの」ママは苛ついていた。「ママだって、鰹のたたきとか食べたいけど、もう、食品はすべて配給制になったのだから」とくやしそうに云う。
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