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それにスーパーもなくなったのだ。
かつてスーパーだったところでは、、食料の搬入と分配と搬出をしている、食料センターになっている。ぼくら子どもは単にセンターって呼ぶけどね。
スーパーのカゴは、各家庭に配給する仕訳に役立っているそうだ。
ぼくは洗面所で歯ブラシを手にとった。
「ママ、歯磨きがもうなくなりそうだけど?」
「あら、センターに頼むから、忘れないで、用紙に書いておいて」と、ママがキッチンから声を出した。
「わかった」
いいや、もう今日は歯磨きはやめよう。
ぼくは日用生活用品のチェック表の歯磨きの欄に1と数字を書く。日用品の締め切りは土曜日なので、その日の午後3時までにパソコンで注文する仕組みだ。
鏡の前でぼくは自分の顔を見た。
よくパパに似ていると云われる顔だ。だけど、このごろのパパは顔色が悪くて肌もあれている。ひと月に一度くらいは家で休むけど、4,5日家にいてもずっと横になっている。
コロナの前パパはサイクリングが好きだったのだ。でも、外出ができなくなってから、愛用の自転車はずっと物置に入って、何年も冬眠しているみたいカマキリみたいだ。
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