3人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
再登場
果てしなく広い海、どこまでも続く青空。そんな空を見上げながら、シェリーは一人物思いにふけっていた。
「シェリー、どうしたの?」
隣に立ったのはこの船の船医を務めるフローレンス。差し出された日傘に入りながら、シェリーは少し俯いた。
「浮かない顔してるけど、もしかしてリュドミラのこと?」
船医というのは、随分と勘がいいようだ。シェリーが顔を上げると、フローレンスは少し困ったように眉を下げた。
遡ること半刻ほど前。
「ねぇー!俺そろそろ遊びたい!」
気ままな船長のお達しで、エイヴリー海賊団は丁度近くにあった港に船を停めた。
まではよかったのだが。
「あら!こんなところで会うなんて奇遇ね、ルイス!!」
船を停めてすぐ、見慣れた少女が甲板に登ってきた。
「……なんでお前がいんだよ」
不機嫌そうに眉を潜めたルイスが、“少女”もといレベッカを睨み付ける。
「私たちが先にいたのよ?もしかして、ルイスが私を追いかけてきたんじゃなくって?」
相変わらず少しズレた思考回路は、ルイスの癇に触ったらしい。
「そんなわけないじゃん、いい加減にしてくれない?ほんとにお前めんどくさいわ」
ルイスは吐き捨てるようにそう言うと、一息つきに来ていたエリックに声をかけた。
「エリック、こいつ船から追い出しといて。あとチヨメは船内から出さないでね」
それだけ言うと、ルイスはレベッカを押し退けて船を降りてしまった。
最初のコメントを投稿しよう!