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初対面
「あ!ちょ!ルイス!……ったくもう。ていうか、君どちら様?」
女というものが苦手なエリックだが、幼ければまだ大丈夫らしい。
「私はレベッカよ。ルイスのお父様の船の船員をしているわ。それより、チヨメはまだこの船にいるの?ちょっと連れて来なさいよ!」
チヨメちゃん?とエリックは首を傾げた。さっきのルイスの言い方と、やたらチヨメにつっかかるレベッカ。詳しい話はわからないが、このままチヨメを連れてくると危ないと、直感で悟ったエリック。
「チヨメちゃん?ルイスが言ってたから、チヨメちゃんは出せない。というか……とりあえず船から降りてくれないかな?なんか君、ややこしそうだし」
腰に手を当ててレベッカを見下ろすエリック。端正な顔つきと、鍛えられた体から放たれる威圧感に、さすがのレベッカでも少し怯んだらしい。だがここで食い下がらないのがレベッカだ。
「……なによあなた!もう少し言い方ってない訳!?」
キャンキャンと吠え出したレベッカに、さすがのエリックもお手上げらしい。誰かいないかと辺りを見渡してみると、丁度そこに伸びをしながらリュドミラがやって来た。
「あ!リュドミラ!この子船からおろしといて!俺仕事あるから!」
リュドミラに走り寄ると、それだけ告げてエリックは船内に戻って行った。
「は?おい、エリック!……ていうか、また来たの?」
やれやれ。と困った顔をするリュドミラに、レベッカは少し拗ねた顔をした。
「だって……ルイスがいたんだもん」
むすっと頬を膨らませるレベッカに、リュドミラはぷっと吹き出す。
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