3人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
幸せの先
至近距離で見るリュドミラの目には、今までにないくらい真剣な色を宿している。
「うん。絶対俺のこと離さないでね」
花が咲いたように笑うシェリーに、リュドミラの心臓がドクンと跳ね上がる。だが、それとは違う動機がリュドミラを襲った。
「でも待って、みんなになんて言おう?」
その言葉に、シェリーがあっという顔をする。
「どうしよう?フラーちゃんは知ってるけど……」
他の船員たちがどう思うか。おそらく何も言わないとは思うが、受け入れてもらえるとは思えない。このまま隠し通すか?と、リュドミラが思考を巡らせていると、大きな手がポンと頭に乗った。
「上手くいってよかったぁ!おめでとう!」
リュドミラとシェリーがはっと顔を上げると、太陽のように笑うルイスがいた。戸惑う二人をよそに、ルイスはニコニコ楽しそうに話し出す。
「みんな心配してたんだよ?どうなるのかなーって!ほんとにおめでとう!」
え?受け入れてくれた?それよりみんなって?と頭にはてなマークを沢山飛ばす二人に、ルイスは首を傾げる。
「え?何?バレてないと思ってたの?アハハハ!リュドミラわっかりやすいんだもん!気付かない方がおかしいよ!」
豪快に笑うと、二人の背中を押して歩き出した。
「ほら!そうと決まったら早く帰って報告しないと!そうだ!今夜はお祝いパーティーしようよ!」
ルイスに背中を押されるが、リュドミラがなんとか踏みとどまってルイスに向き直る。
「おかしいと、思わないの?俺たち男同士だよ?」
最初のコメントを投稿しよう!