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魔法の呪文
私は結構レベルの高い(つもりの)呪文使いである。
その効果を始めて理解したのは、二十代そこそこの頃だった。
相変わらず、電車内は端っこが好きで、そこをキープしていた。
ドアの横には手すりがある。
混んできて、その手すりを持つ人が現れた。
しかも、丁度私のデカイ胸の前だ。
大は小を兼ねるかも知れんが、デカイのも結構コンプレックスなのだ。
電車が揺れる。
体も揺れる。
胸がその手(甲)に当たる。
はっきり言って、ヤダ!
意を決して、私は言った。
「あのぅ、すみません。手が当たるので」
と、控えめに言うと、その男性は慌てて、手をずらしてくれた。
もしかしたら、内心
『ぐへへへ』
と、思っていたのかもしれないし、
全く気が付かなかったのかもしれない。
しかし、呪文は放たれ
魔法は成ったのである。
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