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恋するカナちゃん♪
私は、カナ。恋する乙女。
私が恋する彼は、いつもクールで人見知り。
積極的にアプローチしたいけれど、きっと、嫌われちゃうと思う。
ちょっぴり冷たく感じる彼を、何とか、自然に振り向かせたい。
そんな矢先だった。
校舎の渡り廊下、女友達が、家庭科の実習で、クラスみんなで漬け込んだ、漬け物のドデカイ樽を一人で運んでいたのに遭遇。
声の届く範囲に彼がいた。
「どこまで運ぶの? 手伝うわ♪」
「カナ、ありがとう! めっちゃ重いの、助かる~♪」
私は、友達思いの可愛い子ちゃんぶりを魅せて、彼の気を惹こうとした。
彼に、私の声が聞こえるよう、つい、おしゃべりに気合いが入った。
女友達から、ちょっと黙って集中するよう、注意を受けた。
「カナ、シ~~~! 重いで!」
彼の前で、「せ~のッ!」と、重たい漬け物樽を持ち上げた瞬間だった!
ー プリッ! ー
屁ぇ~こいてもたッ!
『カナ、シ~~~! 重いで!』と、注意を受けた直後の、悲しい思い出。
また、その屁が、マスク越しにも、臭かっちゃん♪
終わった……、私の恋は終わった……。
と、思った瞬間ッ!
「僕と付き合ってくれませんか?」
「んっ? えーーーッッッ!!! このタイミングでーーーッッッ!!!」
彼から、まさかの告白ッ!
「僕、屁マニアなんだけど、今の君の屁、僕が長年探し求めて来た理想の屁なんだ!」
「えっ?!」
「シチュエーションといい、タイミングといい、音のキレといい、目に染みて、思わず涙目になるような抜群のくぅ~っさいニオイといい、この上なき屁に、今日、僕は出会ってしまったんだ……」
彼からの愛の告白。私はうれしかったけれど、若干、引いた。
ずっと付き合いたいと思っていた大好きな彼が、屁マニア……。かなりの変態、いや、ド変態臭が漂っているぞよ……。ど、どうしよう?! 戸惑う私に、
「カナ、僕じゃ、ダメかな? ……なんつって!」
と、ダジャレを畳み掛けて来る彼。
「そんなことないそんなことない! こちらこそ、よろしくお願いします!」
あッ、OKしちゃった!
それ以来、私たちカップルは、屁ぇ~にまみれた、屁ぇ~和な二人、『屁マニア主人と屁マミレル夫人』、と呼ばれるようになった。
人生、何が幸いするか分からない♪
今じゃ、屁が出そうになると、
「屁い、尻ッ!」
と、彼に知らせる日々になっている♪
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