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『筆に溺れる』
待宵草
私にとって彼の綴る言葉は
枯渇しきった土くれに落ちる朝露のようでした。
長い長い底知れぬ夜の寒さに凍えながら
朝陽の暖かみに溶かされて生まれた
透き通る球のような露。
息吹いて間もない柔らかな緑の葉から、
重力に従ってなめらかに葉紋を滑り落ちた
それはさも当たり前のように、ごく自然と
からから に渇いた私の元に届いて
一瞬で、
何もかもが潤った気がした。
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