待宵草

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 性格とはどうやったら決まるのだろう。 環境?経験?それとも遺伝だろうか...  環境なら私は申し分なく、もっと素直で甘え上手でいられただろう。大家族の中 末っ子で女の子一人ならば、それはそれは愛情豊かに育ったはずだ。 遺伝とは言いがたい。  父も母も社交的で、休みの日でも父は仕事仲間とキャンプやらバーベキューに家族ぐるみで行くぐらい。  母はご近所さんとも仲が良く、お隣さんなんて私と兄を連れ動物園に連れていってくれたぐらい。  兄も友人がたくさんいて、生徒会やら部活やら役員をこなして常に輪の中心にいたような人だ。 人気者の家族の中で、私だけはどうにもそう言うものは苦手な性格だった。 「お前は何考えてんのか、全然わからん」  何故そんな話になったのかすら分からない私はよく首を傾げて、 「は?何で今それ?」  話をしていた友人や先輩に首を傾げられる事もよくあり、 「一花(いちか)は本当 のび太 だよね」 「えぇ...と…」 「何言われても気にしないじゃん」 しまいにのび太扱い。 いや、悪気は無いんです。 先輩に悪意が無いのも知ってるから笑って誤魔化して、どういう意味なんだ と自問する。 どうやら私は随分とフツーの人とはズレているようで、 天然 やら 不思議な子 扱いをされていた。今になって思えば、それは子供の頃だけではなく、大人になって改めて感じて分かることもあるわけで。 「あれ...私なんか変なこと言ったかな」 ついつい送ってしまったメールの返答が遅い事に不安を覚える。 案の定、返ってきたメールは微妙な回答だった。 会って話すなら表情や声音で反応が分かり、即座に訂正も出来るものだが文字だけのメールは特に気づきにくい。 相手がどう思っているのか、それを感じとるのは至難の技だ。 だから、私は極力自分を出さないことに決めた。 話をしている時は聞き手に徹し、意見を聞かれた時は安パイを。そうしたらみんな平和で、私も輪から外される事はないだろう。 ひたすら、自分を殺し続けるんだ。
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