待宵草

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シャワーを浴びて、頭を冷やそうとしたけれどそれは難しく、スマホを手に動き回る。 どうしようか。ちゃんと謝りたいけど、変に言い訳しない方がいいか...むしろもう私の名前を見るのも嫌だろうか.. 「う~..」 立ち止まって、黒い画面に写る顔と睨み合う。それが数秒程で、スマホは音を立て床に跳ねた。ピロンッとあの変な音がしたからだ。 返事が返ってきた。 ありえない。 そこに書かれていたのはいつもの調子の彼の言葉で。突然暗い話をして八つ当たりしてきた変な女に向ける言葉ではなくて。 「え、えぇ~と...え?」 彼は私なんかより全然大人のようで、何事も無かったように返してくれた。 けれどすっかり心乱れて平常心の欠片も無い私は「いいね」を返すのがやっとで、これ以上関わるのはやめようと決めてベットに入る。 人間、得手不得手というものはあるもので 私はそもそも人と話すのは向いてない。 面白いことも言えないし、空気も読めない上に感情で先走る。何かを発信するなんて愚の骨頂。ちょっといい気になりすぎた、いつも通り傍観者でいればこんなことにならなかったのに。 ピロンッ 不思議な音は布団を被って丸まる私の耳によく響いて、勢いよく布団から頭を出してスマホの画面を覗き込む。 そこには、彼の優しさが詰まってた。
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