待宵草

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今日もスマホ片手に夜を待つ。 「えーと、こうでいいのかな…」 相変わらず独り言のよく響く部屋で 私は初めての一歩を踏み出す。 「タイトル?タイトルは...」 スマホの画面には作品名の登録画面。 人生初の小説(作品)は書きたいことが山ほどある。 けれど、それらは一先ず置いといて。 今、私が書きたいのは最初で最後のファンレターだ。 「言葉....うん、決めた。」 ポチポチとタイトルを打ち込む。 「あ、ペンネームいるんだ。ペンネームは…」 うんうん悩んでいると窓から夕暮れの日差しと冷たい風にカーテンが揺れる。 振り向けば パチッ と小さな音。 視線の先にあった黄金色の花。 固い蕾を割り 花ひらく  ーー 音 が鳴った。        完
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