鯉噛み村【短編】【下品】

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◇◇◇ 「お腹すいちゃった。豆食べ放題とかなんか嫌~」  精進料理といってもそこは所詮田舎。京懐石のような美味そうなものはない。  大量の白米と煮豆。それから高野豆腐、ほうれん草のおひたし、こんにゃく。焼いたきのこ。麩と豆腐の味噌汁。  とってもヘルシー。いつもの晩飯に肉抜いた感じ。菓子の持ち込みも禁止。  俺とタカは白装束みたいなのを着て隙間風がたまに吹き込むお堂にひかれた布団に転がっていた。 「携帯取られるとか想定外〜。エロ動画とか見ないのにね。信用ないなぁ」  あくまで禊だからとエロ動画に繋がるスマホを没収された。 「俺らに信用ないんじゃなくて前にやったやつがいるんじゃないか、一昨年東京行った梶川(かじかわ)先輩とか携帯あったら絶対シコるぜ?」 「あぁー。まぁそうかも。梶川先輩元気かなぁ〜。1回も帰省してないよねぇ」 「帰省したくない気持ちがわかる。いたたまれねぇ」  柱の時計を見るとまだ20時。全然眠くない。  明日のシミュレーションするべきなのかなぁ。  佐々木さんに聞いたところでは神に奉納するわけだからエロ本とかエロ動画見て抜くのはダメらしい。そんなこと言っても神様と鯉見でイくとか狂信者すぎる。  そもそも、もともとは結婚の際の神事だから奥さんをネタにするのはアリらしくて、隣で奥さんが鯉に突っ込むのを見てるらしい。それはそれで物凄く嫌だな。昔の人は強いな。それで奥さんを見て想像するのはいいけどエロ動画とかの不特定多数を見ながらするのはNGらしい。神聖でない。まあ、うん、はい。  でも奥さんいない奉納ばかりの今は、仕方ないから脳内の妄想ありになったようだ。ゆるい。昔の人はエロ動画とかなかったから想像力が豊かだったのかもしれんね。  こんなことなら昨日中にエロ動画見まくってればよかったな。 「タカ、お前明日オカズなしでいける?」 「うーんまぁなんとか、多分、脳内妄想で」 「なに使うの?」 「体は野々浦冷で頭はリンカ」 「うわぁ、聞いちゃいけないこと聞いた気がするわ」 「テルは〜?」 「もう目を瞑ってランダムに」 「ああ、なる〜」 「それよりお前遅いだろ。鯉ガバガバだけど大丈夫なのか?」 「ああ〜まあ俺は途中で萎えたりしないから時間かければ何とか? だから企画モノですぐ話変わるのより単体モノが好きなんだよね〜」 「お前の性癖は聞いてない」
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