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「ハルチさんっ! 来るの遅いです!! これ飲んでください!!」
慎之介に引っ張られるティシャツが俺の首を絞めていた。
その圧迫感から逃れようと慎之介を掴みかけた指先は、がっちりとキホに掴まれた。
一方で首を絞められ、一方で焼酎のロックグラスを持たされ、地獄のような空間で淡々とサビは流れて行く。
俺の首にまとわりついていた圧迫感が剥がれるのと同時に、慎之介が喜々としてズボンを脱ぐ。そのすぐ後に派手なピンク柄のローライズボクサーパンツが引き下げられるのを見た。
「悪趣味」と呟いたのはおそらく俺だけだった。
他のやつらは急に脱ぎだした慎之介にヤジを飛ばしている。そのままなぜか男が全員脱ぐ。
地獄のような光景に笑う女子部員は明らかにこの展開に慣れきっていた。
「ハルチ、お前も脱げよ」
「ぬがねえよ」
なぜこんなところで脱ぐ必要があるのだろうか。
体を張った笑い取りは公共の場でやるべきではない。
そう、俺が改めて思うのは、いつ朝佳がこの場に訪れるかわからない状況だからなのかもしれない。
全身裸になった慎之介が俺に近寄る。それと同時にキホの手が離れた。
前も後ろも地獄で、どちらかを選べと言うのならば俺は酒を選びたい。
だが、そううまく行かないのはこのサークルに入ってから痛いほど理解していた。
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