シアターリスト 「永遠と瞬間」

18/21
前へ
/401ページ
次へ
何故男が脱ぐのは許されて、女が脱ぐのは躊躇われるのだろうか。それは高確率で変質者が男であることと何か関係しているのだろうか。 俺は今まで一度も自分の裸体をひけらかしたいと思ったことはない。それは体を鍛えていないとか、自信がないというわけではないが、とにかくそうする必要性を感じない。 必要性を感じない俺が可笑しいのか、それともこの場にいる軟派の男たちが可笑しいのか。後者であると信じたい。 そうでなければ、人類の男は脱衣性癖を持っているのが当たり前ということになる。もはや変質者は変質者でもなくなるわけだ。 友人が下半身を露出する姿を思い浮かべる。 それは、慎之介であれば何の違和感もなく再生できたが、やはり藤では永遠に再生できなさそうだった。というかしたくないし、されたくないだろう。 「まあ、飲めよ」 結局二つに一つは遂行せざるを得ない。 「ああ、はいはい」 それならば、一つで済んだことに感謝すべきなのかもしれない。 回された酒を喉に流し込みながら、ちらりと時計を確認して、まだ30分も経っていない長針に軽い絶望が襲った。 8時に何事もなく朝佳の前に立っているために、俺はあと何時間この酔っぱらいたちの世話をしなければならないのだろうか。頭を抱えたくなった。
/401ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1423人が本棚に入れています
本棚に追加