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「ハルチがいじめるって!? それはかわいい子には何とやらだよ」
「なんとやらってなんでしゅ?」
「え? かわいい子にはナンパしまくる?」
そりゃそうだろうが、違う。それはケンタロウの座右の銘だろう。しかも、俺がナンパしないキホは可愛くないとはっきり言っているようなものだろうにこの女は理解できずに笑っている。
さすが内部生のやり取りだ。呆れてはいるが、話題の中心から解放されて、ようやく俺は席に着いた。
目の前にある灰皿には、割ったグラスから飛び出た汚れた氷が山積みになっている。氷と灰の混じった水を、すでに空になったグラスに放り込んだ。
有毒な液体が流れてグラスに収まったのを確認すると、空になった灰皿を目の前のテーブルに戻して、ポケットからアメスピを一本取り出した。
カラオケのデンモクには、すでにTRAIN-TRAINがスタンバイされている。
それを横目に流しながら、また次に起こる波乱を予想してため息とともに紫煙が流れた。
横では巨乳女をいじり飽きた慎之介がスマホを操作しながら、ラキストを燻らせている。
目が合うと、にやりと微笑まれた。その顔があまりにも慎之介に似合わなくて苦笑したら「俺渾身のキメ顔を笑うな」と叫ばれた。
「キメ顔ってあれか。ヤクがキマってる顔」
「ラリってねーよ!!」
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