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チェックリスト 「朝日と朝佳について」
永遠に思える時間を消化した俺に朝日が絡む。
ああ、やっと正当に朝を迎えられたのかと感動するほどに長い時間だった。この時間の経過で、我がサークルのほぼ全員がゾンビ化していた。ひどい醜態だ。
各々死んだ顔をしながら家に帰っていく姿は何度見ても哀れだ。それでも大学生はそれが楽しいのだと言う。
何でも覚えたてはヘビーユーザーになりがちなのだろうか。
酒を覚えたばかりの大学生が馬鹿の一つ覚えで騒ぐのは、そのせいなのだろうか。
「ハルチさーん、かえりましょーお?」
今日も首元の空いた服を着たキホは、無駄に胸を晒している。暑いもんな。そりゃ胸を晒したくなるのかもしれない。俺も全裸になりたいくらいだ。
「俺パス。予定あるから他のやつに送ってもらえ」
「ええー? こんな時間から何があるんですか?」
むしろこんな時間から動き出すのが社会だろう。そう思うが言わなかった。こいつの言葉に声を返していると、永遠に俺から離れてくれないような気がした。
それだけはやめてもらいたい。何のために酒に酔わずに今ここに立っているのか、今度こそ忘れていない。
「ほら、シンに送ってもらえ」
「え、俺ぇ? キホお嬢はハルチご指名だろ」
「今日は無理」
本音では、いつでも無理だ。これをいつ告げるべきか考えあぐねている。ただ面倒でキホが俺への興味を失う瞬間が来るのを待ち構えている。
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