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右足を踏み出すと視界が揺れた。
これはかなりアルコールが回っていそうだ。あのクソメタボみたいになることだけはご免だ。
そう思っていても一度知った酔いは猛威をふるって俺の体内を侵していた。
あれだけ一気に飲まされれば、こうなるに決まっている。笑いながらコンビニの灰皿にアメスピを擦り付けた。約25円が消えて行く。その様を揺れる視界の中でぼやりと見ては捨てた。
視界は徐々に熱くなっていく。
酔いが回って程よく酩酊状態が包んでくれるような、そんな優しく生ぬるいものではない。
できれば優しさで包まれていたいものだが、あいにく俺の胃袋を蹂躙しているのはユーミンではなく安いウイスキーだ。
それらはただ俺の体をぶっ壊す為だけに働いている。せっせかせっせか動いては俺の思考をぶっ壊して、内臓の動きを鈍らせて、あのメタボのような末路を追わせる。
そのためだけにあって、あそこで馬鹿騒ぎしているやつらはそれが楽しくて仕方がないのだろう。
何せ大学生だから。って、そんなクソくだらない大義名分にまた笑った。
夜の道を当て所もなく適当に歩く。同じ道をただただ巡回するように歩く。
意味はない。
酔っているからと言われるとそうなのかもしれない。ただあそこに戻るのが面倒なだけなのかもしれないし、あの場に戻らないでいるにも限界があるから、この場から離れた場所まで歩く気には、なれないのかもしれない。
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