プレイリスト 「プロローグ」

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全てが正解のようで不正解でもあった。 こんな言い方をするとマジで月並みで、クソ臭い。おまけにマジで寒い。できれば口に出したくもない。だが俺はあえてこの言葉を選ぼうと思う。 俺がこの日、クソみてえな吐き気を紛れさせるために5丁目と6丁目の脇の狭い路地裏に足を踏み入れたのは、“運命”だった。 それは抗うこともできなければ避けることもできない。 俺はこれからどんなクソなことが起きるかも、この先に何が待っているのかすらも知らなかった。 この足が、小汚い路地裏に到達した瞬間、ただでさえクソだった俺の人生は、最低以上に最低になって、最上級の最悪を手に入れることになる。 だが、きっと、それは間違いなく俺の人生において必要な道だった。 何度も何度も地べたに這い蹲って、ガラガラに枯れた声を張り上げて、馬鹿みてえに額をアスファルトに擦り付けて、クソきたねえ格好のままで力の限り叫ぶことが、たぶん俺の人生には必要だった。 それを知るのは、少なくとも酔いが醒めた後の話だが、何はともあれ、俺はこの日、この汚い路地裏に足を踏み入れたことを、一生後悔しないだろう。 なあ、そう言ったらお前は「気持ち悪い」って鼻で笑うんだろ。
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