お品書き【三】 栗羊羹 ~神様たちと過ごす日々~

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この日食べた栗羊羹は、とても美味しかった。 これまでにここで食べたものは、甘味に限らずすべて美味しかったから、最初からとても期待していたのだけれど、やっぱり想像以上の味だった。 棒状の羊羹を切ると、断面には惜しげもないほどの栗がひしめき合っていて、その黄金色に目を見張った。 ツヤツヤの羊羹は口に入れるとプルンと舌の上を滑ると、小豆と栗の優しい甘さを感じさせながら溶けるように崩れた。 栗は、しっかりとした存在を放ちながらも、決して羊羹の邪魔はしない。 ギンくんいわく、食感まで考え尽くされているらしく、思わず大切に噛み締めるように味わってしまった。 「このお茶と、また合うんだよねぇ」 「お茶はコンが淹れたのですよ!」 栗羊羹ばかり褒めていた私が湯呑みを置くと、すかさずコンくんが満面の笑みになった。 二百歳を過ぎていても、こういう可愛らしいところはやっぱり子どものように見える。 「あの……ここにいる間、私にもなにかさせてほしいんだけど」 「ふむ。まぁそれもよかろう。だが、おもてなしをさせるわけにはいかないから、家事程度のことしか任せられないが……」 「うん。じゃあ、私が家事をするよ」 「では、コンに色々と教えてもらうとよい。コン、よろしく頼むぞ」 「もちろんでございます!」 雨天様の言葉に、コンくんが大きく頷いた。
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