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「そんな風に言ってもらえて私もすごく嬉しいよ。でも、本当に全然役に立てなかったけどね」
「いいのです。こうしてお話ができるだけでもコンは嬉しいですから」
コンくんは、どこか照れ臭そうに石畳と石畳の間をピョンと飛んだ。
私もコンくんの真似をするように、小さく飛ぶように跨いでみる。
「そういえば、今日は雨が降ってないね」
「ああ、まだお話していませんでしたね。今日は雨が降っていないのは、昨夜はお客様がいらっしゃらなかったからです」
「え？ そうなの？」
「えぇ。お客様の心の傷が癒えると、それが翌日の雨になることは、雨天様からお聞きになられたのですよね？」
「うん。あ、そっか。じゃあ……」
「はい。お客様がいらっしゃらなかった翌日は、雨が降りません」
理由を察した私に、コンくんがニッコリと微笑む。
「基本的には毎日お迎えできるように準備しておりますが、傷ついた人が毎日ひがし茶屋街にやって来るとは限りませんし、この辺りに来ていたとしても深いゆかりがない場合もあります。それに、ゆかりがあっても私の声が届かない場合などもあります」
「そうなると、昨日みたいにお客様が来なくて、今日は雨が降らないってことなんだ」
コンくんは頷き、手にしていたほうきやちりとりを納屋に片付けた。
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