お品書き【四】 おはぎ ~別れるその日まで~

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「ねぇ、雨天様は神様なんだよね」 「なにを今さら……。最初から何度もそう言っておるだろう」 「そうなんだけど。でもね、妖とか幽霊とか……普通におもてなししてるけど、神様と妖って仲良くしてもいいものなの?」 訝しげな顔つきをした雨天様は、私の言葉で最初の質問の意味を理解したみたい。 一瞬目を見開いたあとで、眉を下げて微笑んだ。 「では訊くが、ひかりはあのお客様たちになにか悪いことをされたり、嫌な思いを感じさせられるようなことはあったか?」 「……ううん」 少し考えて、しっかりと否定をした。 私は、そんな風に感じたことなんてないことに気づき、自身の質問が恥ずべきものだったのではないか、とすぐに思い至る。 「そういうことだ」 雨天様は優しく言うと、傘をほんの少しだけ後ろに倒して、私の方を真っ直ぐ見つめた。 「妖や幽霊が悪いという認識は、偏見から来る憶測に似たものだ」 「うん……」 きっぱりと言い切られて、雨天様の顔をまともに見ることができなくなってしまった。 雨天様は怒っていないけれど、数十秒前の自身の言動に気まずさを感じずにはいられなかったから。
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