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お品書き【五】 上生菓子 ~神様からの贈り物~
〝その日〟は、程なくして訪れた。
「あれ? ギンくんは? まだ台所にいるの?」
おやつの時間を迎え、いつものようにコンくんとともに居間に行くと、雨天様の姿しか見当たらなかった。
今日のおやつは、ヨモギの生地であんこを包んだお饅頭で、朝に聞いていた通りの甘味は四人分並べられている。
「え?」
小さく声を漏らしたのは、コンくんだった。
驚いたような顔で私を見るコンくんに、なにかまずいことでも言ってしまったのかと悩んだけれど……。
「ひかり。ギンなら、いつもの場所に座っているぞ」
雨天様は、私を見ながら微笑み、ごく普通に答えた。
「え? だって……」
そんなはずはない。
いつもギンくんが座っている場所に、ギンくんはいないのだから。
「ひかり、ギンのことが見えないのだな?」
だけど、そのあとすぐに現実を突きつけられた。
確かめるような声音の中には確信が込められていて、その質問が念のための確認であるのだと気づく。
すぐに言葉にできなくて、戸惑いを見せつつもなんとか小さく頷いた。
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