お品書き【五】 上生菓子 ~神様からの贈り物~

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「おばあちゃんのおかげでグレたりしなかったし、両親と大喧嘩したこととかもなかったんだけど、両親とはずっとぎこちない時とかもあったんだ。でも、ひとり暮らしをするようになってからは、両親とはいい距離感で付き合えるようになったとは思う」 離れてみたことで両親がいることへのありがたみみたいなものを何度も感じたし、期待をされていなくても人並みに大事にされていたんだということにも気づけた。 離れて暮らしているからこそ、実家に帰った時には今までよりも向き合って話すことも増えた。 「実家に帰っても、前ほど息苦しさみたいなものは感じないし。それに、お兄ちゃんとお姉ちゃんは昔から優しいしね」 おばあちゃん家の方が居心地はいいとは思うけれど、実家も決して悪くはない。 そんな風にまで思えるようになっただけでも、一人暮らしをしてよかった。 「そうか」 「うん。ただ……」 安堵混じりの笑みを落とした雨天様が、心配そうに私を見つめて来る。 暗くなり過ぎないように、少しだけ笑って見せた。 「私はちゃんとした夢も目標もないし、就活でまた両親をがっかりさせるかもしれないって思うと……すごく怖いんだ」 おばあちゃんが心配しないように、しっかり頑張ろう。 そう思うようにしても、これから先のことを考えると不安しか出てこない。
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